古代エジプトの猫崇拝

エジプトでは古くから、猫と人間が一緒に暮らしていました。当初は、穀物をネズミなどの害獣から守る家畜として飼われていましたが、猫の目が太陽によって変化して、暗闇の中でも物が見えることから、猫は太陽が下界を見るための動物として神聖視されるようになります。

さらに、猫を殺すのは大罪とされていて、ピラミッドの壁画にも描かれていることから、エジプト人にとって猫の存在がどれほど大きいものであったかを知ることができます。そして、大規模な猫信仰が始まるのです。

猫の女神・バステト神の誕生

第22王朝時代には猫信仰が最も盛んになり、ついに猫の女神・バステト神が誕生します。猫が家の災難を払う存在と考えられていたことから、バステト神も家の守護神として扱われていました。

神殿ができて母猫1匹と子猫4匹が大切に飼われていただけではなく、猫のための金品も献納されていて、ピマイという雄猫のファラオも誕生しました。

また、猫が一度に複数匹の子猫を産むことから、バステト神は多産のシンボルにもなっています。亡くなった猫は当時の王家と同様に、ミイラにしてたくさんの副葬品と一緒に埋葬されました。